角田分 オフィシャルブログ 2013年12月

この冬は このタイプの白鳥を探してみて!

01 お尋ね者 C

 ちょっと衝撃的(?)な内容の写真を一番最初に出してしまいましたが、ブラジル氏の著書『THE WHOOPER SWAN』を今精読中ですが、生態上で興味をあることを読み取ったのです。

 ブラジル氏が述べるところによれば(私の誤迷訳で・・・英語を誤って翻訳したり、迷って翻訳していると思うので、私の場合『誤迷訳』としましたので)コハクチョウのビルパターンから、オオハクチョウに関して、次のように書いています。

「イギリスで越冬するアイスランドからのオオハクチョウの個体間で、1%未満がダーキーであり、74%が黒ベースのイエローネブであり、22%が黄色ベースのイエローネブで、3%だけがペニーフェイスであったことがわかった。対照的に、日本で越冬するロシア東部からの個体間では、ダーキーが全くいなくて、ペニーフェイスが1%より少なく、黒ベースのイエローネブがちょうど4%であり、驚きは96%の黄色ベースのイエローネブでした。」

このことをまとめた表もありました。
オオハクチョウのビル・パターンにおける地域差
          ( Brazil 1981d and Ohtonen 1988後)
│              │英国越冬│フィンランド越冬│日本越冬│
│ ダーキー        │1% 未満 │     0%     │ 0%   │
│ペニーフェイス      │   3%   │     2%    │ 1% 未満 │
│イエローネブ(黒色基盤)│ 74%   │     38%    │ 4%     │
│イエローネブ(黄色基盤)│  22%  │      60%   │ 96%    │
※ パソコンの技術がつたなくて 表をコピーして 添付できませんでした(ごめんなさい) 線を繋いで何とか読み取って下さい。

 コハクチョウにビルパターによって3種の分類法がありましたが、これを元にした分類法があるとすれば、オオハクチョウで上の表のような割合になるというのです。英国やフィンランドのことは別にしても日本のことが気になりました。

 要するに、日本(フィンランドも)には、オオハクチョウのダーキータイプが全く見られないということなのです。これが、最初の衝撃的なお尋ね者(物)の写真の原因なのです。
 実は、上のダーキータイプの写真は、コハクチョウです。そうです。ブラジル氏の著書を精読してこのことが書かれたあったので、僕の持つ写真類殆どを2日かけてチェックしてみました。が、僕の持っている写真の中からオオハクチョウのダーキータイプを探し出すことはできなかったのです。ですから、この冬オオハクチョウが飛来している所にお出かけの際は、是非このビルパターンのチェックをしてみて下さい。もし発見すれば、ナキハクチョウ以上の発見となると思います。

 上の表を見てみるとオオハクチョウの中で日本で一番多いのはイエローネブタイプでほぼ100%となっています。ペニーフェイスが1%未満だということなのです。しかもイエローネブタイプでも圧倒的に yellow-based yellownebが(黄色を基盤としたイエローネブ多くオオハクチョウが100羽居ればそのうちの96羽がこれだということですね。ちなみに下の写真を見て下さい。言われるとおりに殆どが黄色イエローネブですよ。黒色基盤のイエローネブもいないわけでなくて時々見かけます。
2 DSC_9707
写真2  屈斜路湖砂湯で撮影

 そこで、以前にもコハクのビルパターンについては、ブログに書いたと思いますが、ここでオオハクのビルパターンを分類しながらこの分類法について考えてみたいと思います。当然コハクのビルパターンの分類法が基礎になると思いますが…。

 コハクチョウのビルパターンは、ダーキー、ペニーフェイス、イエローネブの3種類でした。
3 ビルパターン3種 Cc
写真3 (左)ダーキ  (中央)ペニーフェイス  (右)イエローネブ
 
 この3種の呼び名の『ダーキー』というのは、黒いとか暗いという意味のようですのでくちばしの黒い部分が大きいという意味で納得です。『イエローネブ』というのもイエローは黄色ですし、ネブというのもくちばしとか端という意味のようですので納得ですが、『ペニーフエイス』というのが少し納得できないのです。フェイスというのは顔ということだと思いますがペニーというのがいまいち理解不能なのです。このペニーという意味ご存知の方教えて下さい。
 この3種の分類は理解できました。ただ分類についての詳細は、まだ十分に理解できていませんので、オオハクチョウの分類で述べてみたいと思います。

 オオハクチョウのビルパターンの分類で、新たに知ったのがイエローネブタイプの分類でのyellow-basedとblack-basedという分け方です。
 そもそも基本的な考えとして、白鳥のくちばしの基盤色(一番下の色)は、黒色なのか黄色なのかということが出発点だと思いますが、貴方は黄色だと思いますか。黒色だと思いますか?他の白色白鳥類を考えてみるとどうやら基本的には黒色が基盤色ではないかと思われますが・・・。従って、黄斑という言葉が一般的に通用しているのかなとも思ったりしています。如何でしょうか。

 自著のSWAN in Japanでもこのビルパターンについて(自著P27~)も触れ、オオハクチョウについても、オオハクチョウの基本的なビルパターンは、イエローネブタイプだと写真も掲載して述べ、ペニーフェイスタイプの3種の写真も掲載しましたが、ここでは、ブラジル氏の述べているオオハクチョウのビルパターン分類を引用しながら考えてみたいと思います。

 先程も述べましたが、ブラジル氏は日本にはオオハクチョウのダーキータイプは、全くいないと書いてあります。そこで気になるのが、ペニーフェイスタイプと黒色ベースのイエローネブの分類の仕方です。ブラジル氏の述べているこの2つのタイプについては著書にはカットがありますが、著作権の問題が絡んでくるような気もしますので、僕の撮影した写真で見せたいと思います。下がその3種類です。

4~6 オオハク3種 Cc
写真4 (左)オオハク・ペニーフェイスタイプ (中央)黒ベースのイエローネブタイプ (右)黄色ベース・イエローネブタイプ

 ペニーフェイスについては、その分類基本として自著に『ダーキーのように黒色部が額までつながっているが、黒色部に黄色が入っているタイプ。黒色部が額の近くまで広がっているが額に入っていないものをペニーフェイスⅡ型としている人もいる。』と書きました。
 要するに、ペニーフェイスタイプは、黒色部がくちばしの先端から額の羽毛の生え際まで続いて、その途中に黄斑が見られるものである。それに対してオオハクの黒色ベース(基盤)のイエローネブは、黒色部が鼻孔を過ぎた辺りから額の生え際まで続かないで、額周辺のみに黒色部が現れるというものです。また、黄色イエローネブは、黒色部が額周辺にも全くないタイプのようだ。

 ペニーフェイスと黒色イエローネブタイプの識別法として、黒色部がほぼ額羽毛の生え際にだけがあるものを黒色イエローネブとして識別し、黒色部が額まで途切れながらも繋がっていると見られるものはペニーフェイスとして識別して良いのではないかと考えている。
 参考までに、ペニーフェイスと黒色イエローネブタイプの写真を下に掲載する。

7 ペニーフェイス4種 Cc
写真7 オオハクチョウのペニーフェイスタイプと識別できる個体

8 黒色イエローネブ5種 Cc
写真8 黒色ベース・イエロネブタイプと識別できる個体

 ところが、やはり識別に迷うタイプもいる。下のような個体はどのタイプと識別しますか?
9 識別に困難 Cc
写真9  識別に迷うタイプの個体

 特に識別しなければ困ることもないとは思いますが、やはり色々な個体がいるということだけは間違いないようです。ただ、野外で双眼鏡を使って識別する時には識別困難な個体は多分、黄色ベースイエローネブタイプと識別されそうですね。そのことも黄色ベースのイエローネブタイプが日本で96%だという評価に関係しているのかも知れません。
 オオハクチョウのダーキータイプが日本に全く皆無だということで探しても特に注意しなければいけないのは、コハクチョウのダーキータイプが結構発見できるということです。そのためにオオハクとコハクの識別点を再度確認しておきたい。
 通常ビルパターンと体の大きさ等において識別していると思われますが、識別点として付け加えたいことが3点あり、オオハクコハクの識別点は5ポイントあるということです。これまで通常に使われている
① ビルパターンにおける黄斑部分の形状と鼻孔との関係
② 体の大きさと体つき
 に加えて
③ オオハクチョウには、下くちばし基部に三角形に見えるEポイント(チップポイント)がある。多くのコハクチョウには、このEポイント(チップポイント)が 見られない。
④ コハクチョウには、下くちばし縁のに沿った薄桃色のラインがあるが、オオハ クチョウにはない。
⑤ オオハクチョウのUBPは、明瞭な舌状の黄色部分がある。コハクチョウには色々なタイプがあり、明瞭な舌状のものはない。

 ③~⑤の3つの識別点について、詳細に説明しますので是非オオハクチョウのダーキータイプの発見に役立てて戴きたい。
③ オオハクチョウには、下くちばし基部に三角形に見えるEポイントがある。多くのコハクチョウには、このEポイントが見られない。

 このことは、UBPによるオオハクコハクの識別点として説明したので、以前のブログを参考にして戴きたい。僕のブログでこの点のことはEポイントという名前で説明したが、ブラジル氏は著書でチップポイントという名称で説明している。
もう一度Eポイント(チップポイント)の位置を下の写真で確認してほしい。
10 Eポイント Cc
写真10  オオハクチョウのEポイント(チップポイント)

このEポイントは、オオハクチョウには必ずある。コハクチョウのほとんどの個体では下の写真のようにEポイントは見られない。
11 コハク Eポイント なしCc
写真11 Eポイントが見られないコハクチョウ

 ただ、コハクチョウでもUBPの黄色が大きいタイプの個体では、下の写真12のように見ることができる場合もあるので要注意である。(ブラジル氏はコハクチョウのEポイントには触れていない)

12 コハク Eポイント あり Cc
写真12 Eポイントらしいものが見えるコハクチョウの個体

 このEポイントらしいものが見られるコハクチョウでも次の識別点である下くちばし縁のに沿った薄桃色のラインと合わせてみると間違いなくオオハクコハクが識別できる。要するに、識別点を単独に用いて識別するのではなく識別点を総合して判断してほしい。

④ コハクチョウには、下くちばし縁のに沿った薄桃色のラインがあるが、オオハクチョウにはない。 

 説明するより写真が一番。写真13で下くちばしの縁にピンク色のラインが見えますね。
13 ピンクライン 0 Cc
写真13 コハクチョウでは、ほとんどの場合ピンクラインを確認できる

 くちばしをしっかり閉じている時以外には、写真のように細く綺麗な薄桃色(ピンク)が確認できる。(写真11の両脇のように場合によっては確認できないこともある)薄桃色の線は確かにある。それに対してオオハクチョウは、下の写真14のようにくちばしを開いた場合でもくちばしの縁にピンクの線は確認できない。(くちばしの内部の肉色は確認できるが…)
14 オオハク ピンクライン Cc
写真14 ピンクラインのないオオハクチョウ

 もちろん コハクチョウはくちばしを開くと下の写真15のようにピンクラインがしっかりと確認できる。
15 コハク ピンクライン Cc
写真15 コハクチョウの明瞭なピンクライン 

 余談ではあるが、このピンクラインは、アメリカコハクチョウやナキハクチョウにもあるので識別の際に役立ててほしい。

⑤ オオハクチョウのUBPは、明瞭な舌状の黄色部分がある。コハクチョウには色々なタイプがあり、明瞭な舌状のものはない

 この説明部分は、以前のUBP活用による種識別のブログをお読みいただいた方がよりよく理解できると思いますので是非お読み下さい。

16 オオハク コハク種識別ポイント mM Cc
図1 オオハクコハクのUBPの様子

 要するに、オオハクチョウのUBPには明瞭な舌状の黄色部分があり、コハクチョウには明瞭な舌状の黄色部分がないので、オオハク・コハクの識別ができるということです。以前のブログでも述べましたが、この場合特に重要になるのが、舌状黄色部分の付け根の部分(首により近い部分)、羽毛と接する部分が明確に凹三角形であり、この黄色い凹三角形の両端まで明確に図1の赤い矢印ように黄色であるということです。コハクチョウは、先端部分(赤い矢印部分)に、黒色がある。例えば上述写真10の両脇の写真でもこの先端部分が明確に黄色である。

 今回のブログの目的は、ダーキータイプのオオハクチョウを探そうということなのです。コハクチョウのダーキータイプは、結構見受けられますので、それと見間違わないようにということで、オオハクコハクの識別ポイントを挙げてみたのです。是非この2014シーズンに、オオハクチョウのダーキータイプがどこかで見つかることを期待しています。
 こんなオオハクチョウもいました
 ダーキータイプのオオハクチョウを撮影してある写真の中から探している時に、従来まで言われてきたオオハクチョウのどのビルパターンに入れて良いのか判断に迷う形状のものがありました。それが下の写真16です。
16 新タイプ? Cc
写真16 黒色部分の形状が・・

17 Y イエローネブタイプ Cc
写真17 一般的な形状

 黄色い部分の形状から黄色基盤のイエローネブタイプのオオハクチョウには間違いないと思うのですが、鼻孔周辺の形状が写真17のように一般的に見られるものより少し角張っているような気がします。
 まあ、コハクチョウの場合ビルパターンで個体識別ができると言うほど変化に富んでいるもののようですので、このくらいあっても良いのかなとも思いますが…ね。

ついでのついでに ビルパターンって、子どもに遺伝するのでしょうかね?
 オオハクチョウのビルパターンの写真を探しながら、気になったのがこのことでした。人間の場合、顔かたちが親に似ると言いますが、白鳥の場合、親に似ているかどうか判断できるのは、このビルパターンしかないような気がしたのです。ただ、オオハクチョウのビルパターンの場合、ほぼ96%が黄色タイプのイエローネブという時に、この問題を検証できるのは、黒色部分の形状が特徴あるペニーフェイスタイプだけではないかと思うのです、が、これもオオハクの1%未満と言うことですので、なかなか難しいかな?とも思うのです。
 下の2枚の写真のオオハクチョウは、多分家族群だと思うのですが、遺伝があると判断できますか?ブラジル氏の著書に『養子』ということも書いてありましたので、要注意ですがね。
18 家族群 Cc
写真18(左)ペニーフェイス家族群 (右)Yイエローネブ家族群

 写真を見る限りでは、形状の特徴的な遺伝が一部の子どもには現れているような気がしますが、これはこれからの追究課題かも知れませんね。

 オオハクチョウのダーキータイプを発見しましたら是非ご一報を下さい。お待ちしています。
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